いざ奈良!

鹿せんべいを食べに行こう!と奈良へ向かう事にした。
東京駅に来ると旅気分が否が応でも盛り上がる。

東京から“のぞみ”に乗り込む。700系だからかどうかはわからないが全席禁煙とは言え喫煙ルームが完備されているのが嬉しい。


京都駅で近鉄線に乗り換える。鉄ヲタ風に電車の写真なぞ撮るあたりが旅気分の高揚を物語っているに間違いない。

変わりゆく景色を見ながら揺られる事約40分。大和西大寺で奈良行きの電車に乗り換える。


平城宮跡の真横を走り...

2駅で近鉄奈良駅に到着。

はて、どっちに行けば良いのか案内板を見ると…

『バス← →徒歩』って(≧∇≦)
真反対の方向にも関わらず、移動手段で区分けをするとは近鉄恐るべし。 もちろん徒歩のため右手に進む…。

奈良上陸!

宿に荷を降ろし、まずは鹿とのせんべい争奪戦に負けない基礎体力をつけるべく柳生街道の山登りに。13年前の10月にフラッと登ったは良いが道中にある峠茶屋で一服し、折り返したものの早々に陽が沈み何も見えない漆黒の闇の中、奇跡的な生還を果たした思い出の山道。あの峠茶屋までチャレンジし、明るい内に下山するのがトレーニングの目的だ。破石町のバス停から公道を登って行くが柳生街道入り口までは思ったより距離があった。
そして本格的な柳生街道の山道に突入。

木陰は風が気持ち良く、能登川と言う山の清流の音が実に涼しげで、土道や石畳の道が時に緩やかに時に急勾配で続いて行く。
途中にある立派な春日杉。

途中休憩を入れつつ約2時間で目的の峠茶屋に到着。ビールを買い一服しながらしばし茶屋の親父さんと話をし、『おおきに!』と地の言葉に見送られ下山。
明るい時間に下山してみると13年前良くあの何も見えない漆黒の闇の中、清流の音だけを頼りに下山出来たもんだと改めてその神がかりな奇跡を実感した。

春日大社周辺の奈良公園にて暑さと疲れを癒すべく宇治ミルクのかき氷を頬張る。その辺で何気なく売っている子供騙しの抹茶シロップではなく、ちゃんと抹茶粉末をシロップに溶かして作ってくれた本物のかき氷だ。久々に美味いかき氷を食べた。奈良に来たら絶対この宇治ミルクかき氷を食べようと心に誓う。
さぁ!そしていよいよ鹿とせんべい争奪戦の時が来た!

150円で鹿せんべいを買う。その瞬間から鹿が集まり始める。立派な角を持った雄も、可愛らしい瞳の牝も、はたまた愛くるしい顔をした小鹿も遠慮なく寄ってくる。
俺が150円出して買ったせんべいだ!お前らは人の戦利品をただで貰おうとするのか!やらんぞ!俺が食うために買ったんだ!
逃げれば逃げるほど奴らは四方から攻めてくる。 『ちょ〜だい』と言わんばかりにあちこちから噛み付いてくる。角を押し当ててくる。ホンのあま噛みなんだろうが痛ぇつうの! 俺が食うか俺が食われるかの闘いだ。何のために柳生街道トレーニングをしてきたんだ!負けてなるものか!
…気がつけば全てのせんべいを奪われていた。
2戦、3戦…奴らは強かった。俺の完敗…

勝者はなに食わぬ顔をしておくつろぎだ。

その勇敢な瞳は『またちょ〜だいねぇ』と言わんばかりに勝ち誇っていた。

よ〜し!今度来た時は口移しでくれてやる!鹿とキスをしてやる!と新たな野望が湧いてきて今回の旅は終わった。

近鉄奈良駅のひらがな案内板が妙におかしい旅の締めくくりだった。

恐るべし近鉄
恐るべし鹿

また会う日まで。

アディオス!