何のため?

2009年の『世界人口白書国連人口基金まとめ)』による世界の平均寿命で日本は男性4位(79.4歳)、女性1位(86.5歳)だそうです。明治13年の平均寿命は男性36歳、女性38歳。たった130年くらいの間に倍以上長生きするようになった。平均寿命が延びた1番の理由は乳幼児の死亡率の減少と言われてますが、要は医療の進歩が画期的に寿命を延ばした原因です。…が、その医療の進歩に伴い何かにつけ『長生き長生き』とうたわれている昨今、何かおかしいと思いませんか?
何のために“長生きする事”が重要視されているのでしょう? 確かに世界トップクラスの長寿国になった日本ですが、現実はどうですか? 片や長寿長寿と煽る一方、高齢化社会が問題視されている。医療費問題や年金問題等財政絡み、実生活においては特養や各種ケアサービスなど、老人が自然で健全な余生とはとても思えない生活を余儀なくされている。こんな状態が果して目指す長寿国の姿なのでしょうか?
医療の進歩は自然の逆行。本来の自然の流れに逆らって“長生き”という結果を導いてきた。それどころかクローンや遺伝子操作など本来の自然の成り立ちまでも足を踏み入れている。
高齢化問題に警鐘を鳴らしつつも、これからは予防医学だ…と、病気にならないための薬の使用に重点が置かれている。何とも矛盾した話に思えて仕方ありません。それなりに健康で、自分の事は自分で出来て、仕事や楽しみに時間を費やせるのであれば長生きする事も素晴らしい事だと思いますが、ヨイヨイになって世話をしてもらわないと日常生活が出来ないような長生きは幸せなのでしょうか?何のために長生きをしたいのか、はたまた“させたい”のか。たった1度の自分の人生のプランを『国』や『医者』に委ねっぱなしでいいんでしょうか。