消えた上履き入れ!?

ある町に小さな男の子がいました。
仮にS君としましょうか。まだピカピカに光る黒いランドセルを背負って毎日ひょっこひょっこと学校に通っていく。元気いっぱいとは言え、学校の勉強やら、宿題やらあれこれやる事やっているとさすがに週末になると疲れてくる。注意力も散漫になってくるわけですよ。昔は今みたいに週休2日じゃなかったら土曜日も4時間授業があった。ただ給食は無しで皆帰宅してから昼ごはんを食べるわけです。
そんな土曜日はお家で洗濯するために上履きも持って帰らなければならない。1週間最後の帰りの会が終わり『先生さようなら 皆さんさようなら』なんて一連の挨拶が済むと皆一目散にランドセル背負って下駄箱に走る。S君も早く家に帰ってお昼ご飯食べたいもんだから、かき集めるように荷物持ってバタバタと階段を駆け降り下駄箱に向かうわけです。
さぁ早く靴履き替えて帰るぞ!と下足に履き替えた時に『あれ?』と立ち止まってしまった。さっき持ったはずの上履き入れが無い。ランドセルのフックに引っ掛けたかな?と見るがそこには無い。途中で落としてきたかな?と上履きに履き替え今来たルートを戻り始めた。しかし廊下にも階段にも上履き入れは見当たらない。結局教室まで戻ったものの…そこにも無い。帰りの挨拶をして荷物を手にした時には間違いなくあったんですよ。それが下駄箱までのものの数分の内に無くなってしまった。
これにはS君も焦りました。上履き入れが無いと上履き持って帰れないんですから。もう1度同じルートを丹念に見ながら下駄箱まで降りてみるがやっぱり何処にも見当たらない。
もしかして落としてしまって誰かが職員室に届けてくれたのかもしれないとS君は職員室に向かってみました。ガラガラっとドアを開け中を覗いてみると担任の先生が居たので『先生、僕の上履き入れ届いてませんか?』と訪ねると、先生はキョトンとしながらこう応えました…



『S君、頭に被っているのは何?』



そう、S君は何故か帽子のさらにその上に上履き入れを被っていたのです。無意識の行動なのでしょうか…?
見えない何かの仕業なのでしょうか?

信じるか信じないかはアナタ次第です。